『君たちに私の美学は分かるまい』

ポケモンの型考察、名探偵コナン関係、漫画の紹介等の雑記ブログです。

【2021版】劇場版名探偵コナンランキング【紺青の拳追加】

~注意事項~

■この記事は劇場版名探偵コナン未視聴の方向けのおすすめランキングではありません。

●劇場版名探偵コナン(第1作~第23作)のランキング。ルパンVS名探偵コナン、緋色の弾丸は含みません。

●コナン好き懐古厨おじさんの独断偏見で決めたランキング。

●ネタバレ(トリック、犯人、動機、台詞)、のある批評が含まれます。

●上から目線の文章が含まれます。

●ランネー・チャンの新一依存症シーンは嫌いではありません。

 

 

◆コナン映画史にある意味革命を起こした伝説の作品◆

 

 

23位 業火の向日葵(第19作/2015)

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キッドがゴッホの名画『ひまわり』を狙う話。

キッド+アートミステリーという題材、主題歌が良い。序盤の展開が『銀翼の奇術師』のラスト、『沈黙の15分』の序盤に近い演出だったため迫力があった。

ただ、『原作の焼き増しか?』と疑ってしまうほど中身が薄い。次郎吉じいさんの爆害オークションから物語がスタートしたり、中盤にお金をばらまくシーンがあったりと、『ひまわり』に対する見方が『人の想い』というよりも『お金』という印象が強くなってしまい、物語全体を薄っぺらくしてしまった。それであれば、お婆さんと東さんの祖父の『ひまわり』に関するエピソードからスタートした方が物語的に良かった思う。

"7人のサムライ"という設定は良かったが、空気になっているサムライがちらほら。 数合わせで呼ばれたとしか思えない。その中でも一際目立っていたチャーリー警部もイマイチ。何故キッドを執拗に追っているのか、理由を明かさないまま物語が終了。これには開いた口が塞がらなかった。仕方なく、ただ単に正義感が強かったと解釈したが(笑)

犯人は小物で目も当てられない。しかも、大事な動機部分もゲスト声優の棒読みで、緊張感がなくなってしまい、信念が何も伝わってこないとまできた。棒読み以前に、動機に説得力がなかったのもあるかもしれない。物語に活かされていない灰原とお婆さんの会話、東兄弟のエピソードに尺を使うぐらいなら、犯人の過去回想に使って欲しい。とにかく、意味不明な動機に対して納得できる材料が欲しかった。

終盤は、ただ単にコナンとキッドの仲良しごっこを見せられる始末。『天空の難破船』もそうだが『コナンとキッドの関係性ってここまで近いっけ?』と疑問を持ちたくなる。アクションに力を入れすぎて、大事な部分を見落としているのではないか。

小説版で内容を補充した(筆者は読んでいない)ようだが、映画で伝えられなかったのなら無意味だと思う。タイトル通り、業火(豪快)に散った伝説の作品。ダントツの最下位。

 

22位 ゼロの執行人(第22作/2018)

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公安警察のいざこざにコナンが絡むお話。

相棒の脚本家で数々のコナン迷作映画に携わってきた櫻井氏とコナン映画初監督の立川監督がタッグを組んで、『業火の向日葵』に肩を並べる伝説の迷作を見事に作り上げてしまった。静野作品を水で薄めた感じ。

この映画の功績は、コナン史上最強のテロリストを誕生させたこと。本当これだけ。

ストーリーの起伏がほとんどなく、公安や裁判についての説明が中盤までダラダラと単調に続くため、大学のつまらない講義を聴いているかのようで鑑賞後の疲労感が半端なかった。肝心の推理部分は、終盤に駆け足で詰め込み、アニメーションで誤魔化す静野戦法を採用してしまったため、お粗末極まりない。尺の都合か何か分からないが、推理もアクションもストーリーも中途半端に散らかしまくっている。それと少年探偵団の活躍を不自然にねじ込むのはもうお腹いっぱい。天国のカウントダウンのような活躍を見るのはもう無理なのか...

安室が今回の事件のキーマンになるかと思いきや、そんなことはなく、受けを狙ったキザな台詞とはちゃめちゃカーアクションを披露しただけ。なぜメインキャラとして扱ったのかが、この映画で一番の謎だった。

ゲストキャラの茶番→安室の無理矢理作られたクライマックスを見た後に『真実は~いつもひとつでも~』を聴かされるのは非常に暑苦しい(曲自体は名曲) 正義の押し売りとはまさにこのこと。

ひとつひとつの台詞や話題作品のオマージュなど全体的に媚びてる感が否めない。

爆破爆破爆破の静野監督なら、ファンに媚びまくる立川監督だ。

 

21位 11人目のストライカー(第16作/2012)

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サッカースタジアムが舞台。

犯人によって仕掛けられた爆弾の捜索・解除が物語の軸になっている。この点は、時計仕掛けの摩天楼と似ている部分。それ以外は似ても似つかない。

サッカーがテーマということもあり、本物のサッカー選手がゲスト声優として参加。まあこれが本当に酷い。子供のアフレコと変わらない棒読みを披露し、コナン史に不名誉な功績を残した。聞けばわかるのだが、作品自体を見事にぶっ壊している。『犯人の仕掛けた爆弾よりも、ゲスト声優の方が強力な爆弾だった』と思ってしまう程に。ラストにつながる伏線だっただけに残念。

犯人の動機も過去回想によってある程度理解できたが、いかにせん調査不足感が否めない。『犯行を計画する前に、毛利小五郎と直接話して事実確認しろよ』と思ってしまった。

コナンが爆弾解除のために、スタジアムの支柱をスケボーで上るという愚行を披露したり、『爆弾どうやって仕掛けた?』と疑問に思うほど、無茶苦茶な部分に仕掛けられていたりと、『沈黙の15分』でもそうだったが、もはや何でもアリになってきている。

爆弾解除の方法など、無茶な部分を挙げるとキリがない。

ただ、犯人の名言→主題歌の締めくくり方は好き。

 

20位 絶海の探偵(第17作/2013)

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イージス艦が舞台。

防衛省海上自衛隊全面協力なだけあって、序盤の対空戦闘訓練が非常にリアルで、イージス艦に乗った自衛隊員の気分になれる(映画館のみ) 光彦の腕時計、おっちゃんの黄金の名刺など何気ないシーンがラストに繋がる伏線だったのは良かったと思う。ゲスト声優(柴咲コウさん)の演技が他の作品よりもズバ抜けて安定していた。

予告編で、『左腕のない死体』、『まさか乗客の中にスパイが?』、『スパイXは誰だ?』みたいなことを謳っていたので、本格的な推理ものかと期待したが、いざ蓋を開けてみると、ほとんど推理をすることなくスパイXが判明してしまう残念な展開。スパイXが誰かを推理したくても容疑者らしき人物候補が1人しかいないので、『誰がスパイXなんだ?』というワクワク感がゼロ。『左腕のない死体』に関してはもっと酷い。スパイとは関係なく、ただの事故。海保官の業務上過失致死隠蔽工作(詳しく知りたい人は観て)でしたで、ほとんど推理をすることなく片付けられる。隠蔽のバレた海保官が言い放った『すみませんでした!』 の一言にあきれ果てた。

ちなみに、映画ポスター、看板のキャッチコピーが『それ、マズくね?』 コナンの行動がスパイと変わらないこと、セキュリティー管理の甘さなど、キャッチコピー通り、色々とマズい。ツッコミを入れる気にもなれない程に。

舞台がイージス艦で、海上自衛隊vs異国のスパイという設定が良かっただけに残念。

 

19位 銀翼の奇術師(第8作/2004)

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スターサファイア『運命の宝石』をキッドが狙う話。序盤:劇場(キッド主役)〜終盤:飛行機(ランネー・チャン主役)と舞台が変わる。

上空3000フィートの密室で起こる殺人事件の謎解きにコナンが挑んだ結果、事件発生後15分ぐらいで解決。余程、その後の飛行機操縦シーンに尺を使いたかったんだろう。本格的な推理を期待している人には少々物足りなく、正直なところ、ランネー・チャン飛行機操縦映画にキッドがゲスト出演した感じ。

犯人の動機は良かった。他人の動機を熱弁し、自分の罪を擦り付けようとするなど、可愛い顔とは裏腹に犯人の腹黒さが垣間見えて面白かった。犯人に浴びせたおっちゃんと博士の言葉も素晴らしい。

おっちゃん『メイクのプライドだぁ?笑わせるんじゃねぇ。それならどうしてメイクの道具を凶器に使ったんだ?今のあんたにプライドなんて言葉を使う資格はねぇ』博士『あんたはまだ若い。罪を償ってまたやり直すんじゃ』 

瞳→天国→ベイカー→迷宮で高まっていた熱を一気に冷ましてしまったコナン史に残る伝説の作品。

 

18位 沈黙の15分(第15作/2011)

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冬の新潟が舞台。15周年ということで、いつものコナンとは違う『逆』の展開に挑戦している。この作品から監督が変わったこともあり、序盤、終盤関わらず、アクションシーンを押すようになった。

序盤からキチガイ行動を連発するコナン。高速道路をスケボーで逆走したあと、身を呈して車を止めるという一般人が到底考えもしないような愚行を披露。偶然、プロ並みのドライブテクを持ったドライバー達ばかりだったのか、負傷者ゼロというあり得ない展開で視聴者を驚かせてくれた。

犯人も同情の余地がない根っからのクズチンピラだったのが残念。あるかもわからない宝石のためにトンネル+殺人+ダム爆破までして多くの人を巻き込み、自らの罪を重くするアホさ(最終的には宝石が見つかったんだけど)そんな事するぐらいなら、もう一度、似たような宝石を盗んだ方がよっぽどリスクが低いことに何故気が付かない…ただ、爆弾を一人でトンネル天上部、ダム内部に仕掛けた頑張りだけは認めよう。

初めての冬山舞台+申し訳程度の推理、ランネー・チャンの新一依存症のシーン、コナンが喧嘩をしている元太と光彦に言った説教じみた教訓『一度口から出しちまった言葉はもう元には戻せねーんだぞ。言葉は刃物なんだ。使い方を間違えると厄介な凶器になる』など見所は一応ある。ツッコミどころ満載だが、伝説の作品の中では健闘していたと思う。

 

◆心に残る迷作

17位 紺青の拳(第23作/2019)

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シンガポールが舞台で、キッドが世界最大級のブルーサファイア『紺青の拳』を狙う話。

安易に静野戦法を使用せず、一つ一つ丁寧に推理していたのは評価ポイント。ただ、ミステリー部分の無理矢理感が否めない。ツッコミどころはあれど、序盤〜中盤(推理を整理するシーンまで)は期待以上だった…が、終盤は小学生が考案したと思わせる様な展開の連続で全てを台無しにした。そのせいで鑑賞後のモヤモヤ感が半端ない。

キッドの扱いも雑で醜態を晒した挙句、コナンの奴隷になっていたりとクールさのかけらもない。しかも、コナンに窃盗の手助けをされるとまできた。これではキッドの株が駄々下がり。それと、キッドのプロペラ飛行をどうにかできなかったのか?『ブーンブーン』という効果音がダサくて見ていられなかった。あれじゃまるでコバエが飛んでるようだコナンとの関係性も初期の好敵手ではなく、もはや親友の様な感じになっている。コナンと一緒の部屋で腹を出して寝ていたりと、まるで修学旅行かの様な酷いありさま。
キャラの深掘りがなく、立ち位置かよくわからず印象の薄い空手チャンピオンと最後戦うシーンは必要あったか疑問である。しかも、真剣勝負と謳いながら、園子をおんぶしながら戦おうとしても何も言わないし。さすがに脳筋すぎでしょう。園子がハンデになるのは仕方ないとしてもおんぶしながら戦うか?普通。シーンとしては映えたが、周りに敵もいないし、足場も悪くないんだから、わざわざおんぶする必要はない。
最近のコナン映画で主流のこじつけ戦法を使えば誰でも黒幕になれるので、どうせやるなら空手チャンピオンを黒幕にすれば良かった。そうすれば最後の対峙が映えたと思う。

京極をもう少し掘り下げて欲しかった。拳を振るう葛藤をもう少し描写してほしい。
ミサンガがキモなら、なぜ切る葛藤を描写せず、キッドに切らせる?それならミサンガのくだりいらないよね?ミサンガが切れて突然、界王拳が発動し別作品に転生するなど理解が追いつかない。

水着で新一と手を繋ごうとしたり、思わせぶりな態度を取ったりと、いつもと違うランネー・チャンが新鮮で良いと思ったのだが、エンディング後で偽物だと気づいてやっていたと打ち明けられて興醒めした。シンガポールの警察に伝えてなかったことから、捕まえる為に仕方なく演じていたと言われても全然伝わらない。唯々ランネー・チャンのイメージを崩壊させただけで、打ち明けシーンは完全な蛇足だった。今回のランネー・チャンはランネー・チャンに変装したベルモットだと思った方が良い

終盤では、コナンの脳内思考がバグったのか、ランネー・チャンたちがいるにも関わらず、マリーナベイにロケランを誘導させ爆破し、船ごと下に落として着水させるという愚策を考案。もうやっていることがテロリストと何ら変わりない。

黒幕についても違和感しかない。同じような雰囲気で復讐が動機だった水平線上の陰謀では、最初に過去回想シーンがあったため、ある程度理解できたが、今回は身辺話がちょろっとあっただけ。それでは背景が伝わらない。脇は甘いし、復讐と言いながら、『世界を動かしているのは僕だ』とイキリ散らしたり、海賊達を操る為、園子を人質にして身代金を要求しようとするなど、言動に筋が通っていなく何がしたいのかわからない。
レオンも序盤〜中盤まで切れ者オーラを漂わせていたのに、黒幕が出てきた途端、小物に成り下がる。それと、レオンの計画と犯行に至るまでの描写がないため、意味不明で結局何がしたいのかわからない。迷走してる者同士がドヤ顔で自らの犯行を語り合っても、事の終着点が見つからない。

キッド映画で犯人の動機に父親を殺された復讐を使ったこと、園子と京極のエピソード(特に絆創膏の前フリ→喧嘩のシーン→ラストまでの流れ)、園子の細かい仕草、京極の男らしさ、映画全体の雰囲気は好きなのでこの順位。本当に最後の茶番と蛇足がもったいない。

 

16位 紺碧の棺(第11作/2007)

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海賊がテーマのお話。

空前のスケールで描かれる、ミステリーアドベンチャーと予告編で言っていたが、蓋を開けてみると、謎解きスタンプラリー形式の宝探しゲームがメインで推理はおまけ。TVスペシャル版のようなほのぼのとした雰囲気の作品。ルパン&不二子に変装した犯人とのカーレースから物語が始まる斬新さ。海賊がテーマの筈だよね??

トレジャーハンターのリーダー的な立ち位置だった松本君はマシだったが、スネ夫的ポジションの小太り君の小物臭が半端ない。

それと真犯人のショボさには驚いた。コナン映画史上もっともショボい犯人と言えるだろう。終盤に、真犯人が変貌し、『ここまで案内してくれてありがとう。宝は全て俺のものだ!』みたいな台詞を吐き捨て、トレジャーハンターの二人を亡き者にし、ランネー・チャンと園子に危害を加えるぐらいの展開があれば、もっと上位に食い込んでいた。

ランネー・チャンと園子の友情をもう一つのテーマにしたのは良かったが、親友になった理由や出会いなどのエピソードを回想として挿入した方が中途半端にならなかった。そういうのがあれば、ランネー・チャンと園子が背中合わせで闘う姿をアン・ボニーとメアリ・リードの姿に重ねあわせるシーンがより引き立っていたと思う。

コナン『本当は宝の地図じゃなくて、監獄に残して来たメアリ・リードに向けたメッセージだったんじゃない』美馬『あの船は後から脱獄して来るメアリーと共に再び7つの海に繰り出すのを夢見てアンが建造した船だったんだろう』美馬『そして後に残されたあの船は大海原に解き放たれる日を海底の棺のような洞窟で待ち続け、300年後の今日、最初で最期の航海に出て、君たちを海面まで送り届け、二人の主人を追うように姿を消した』コナン『アンがメアリーを待っていたのは間違いないぜ。おっちゃん。その証拠に海賊旗のドクロの下に書いてあるじゃねーか。アンとメアリーのピストルとカットレスがな』主題歌

ラストの締めくくりが劇場版トップクラスの美しさだけに、本当に勿体ない。

 

15位 純黒の悪夢(第20作/2016)

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公安vsFBIvs黒の組織の抗争にコナンがゲストとして参加している感じ。

20年記念作品ということで、中途半端なミステリー要素を完全排除し、思い切ってアクション一筋にしたことは評価に値する。アクション映画ということもあり、序盤のカーチェイス、終盤の観覧車破壊など、なかなかの迫力がある。

しかしながら、静野監督作品に共通するモブキャラがどうなろうと関係ないぜアクションはみていて呆れ通り越して笑いが出てくる。黒の組織が近くにいるにも関わらず、安室と赤井が観覧車の上でいきなりタイマンを始めたりと理解が追いつかない。黒の組織を舐めてるのか?』とツッコまれても仕方がないだろう。100歩譲って、黒の組織の前でタイマンを始めるとするなら、安室が赤井を憎む理由の回想を入れないと、原作を知らない人は意味不明なバトルをしているだけに見えてしまう。

ゲスト声優は良くも悪くも普通。所々、気になる部分はあったが、過去の時限爆弾達と比べれば断然良い。キュラソー自体は魅力あるキャラだったので、もう少し深く掘り下げて欲しかった。 それと、少年探偵団との絆をテーマにするのは良いが、少年探偵団の描写が雑なせいで感情移入しにくい(あくまで個人的な意見)

少年探偵団がただの自己中クソガキ集団に成り下がっているのは気にいらない。高木刑事や園子のことをパシリみたいに利用しているのはさすがにやりすぎだし、迷惑を掛けた元太が博士に対していう一言があまりにも酷い。脚本のためにキャラ変するのは目を瞑るが、明らかに度を越していて全然笑えない。

アクション映画として考えるとこの順位が妥当。ミステリーとしてみるならダントツの最下位。原作を読んでいない人は、ついていけない映画かもしれない。

 

14位 天空の難破船(第14作/2010)

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ギッドがレディー・スカイ『天空の貴婦人』を狙う話。舞台は鈴木財閥が建造した世界最大級の飛行船ベル・ツリーI世号。 

ギャグ要素を多く取り入れており、ファン向けの映画としてサービス精神の詰まった作品。この作品から、コナンとキッドの関係性がおかしくなり始めた。ライバルと言うよりも友達感覚になっている(苦笑)

細菌研究所の爆破→記者会見の流れで物語がスタートする。冒頭からバイオテロ発生を予感させて、『これは今まで無い大規模テロでシリアス展開か?』、『凶悪なテロ集団なのだろうか?』『どうやってコナンが解決するのだろうか?』、『キッドがどう絡んでくるのか?』と誰もがこの後の展開に期待しただろう。物語のつかみだけは良かった。物語が進むにつれて、期待感がガッカリ感に変わる。

バイオテロの真相、犯人の動機の酷さは伝説の作品とほとんど変わらない。実は細菌は漆で、赤いシャム猫も嘘でした~で終わったのは非常に残念。傭兵上がりの名だけテロリスト達をキッドと協力して倒すのかと思えばそんなことは一切せず、コナン一人でボコボコにし、テロリスト達は頭の悪さだけを露呈してフェードアウトという結末。テロ集団を裏で操っている犯人も小物。『虚構バイオテロをして、誰もいなくなった寺から仏像を盗みたい』という理解不能な犯行動機。盛大にやっておきながら、犯行動機がそこら辺のコソ泥と変わらない。コナンを拳銃でいたぶる残忍さ、ドヤ顔で逃走方法を語るなど、キャラ自体は嫌いじゃない。

この映画で一番許せないのは、ゲスト声優のために生まれてきた登場人物川口聡彼は色々とタブーを犯した。

 

 8位 戦慄の楽譜(第12作/2008)

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音楽がテーマの作品。

物語全体に上質な雰囲気を作り出すために、実際のクラシックを使用したりと雰囲気作りに力を入れている。世界観を破壊するような過度なアクションもなく、複雑な人間模様を描いたミステリーに徹してる。そのため、他の作品と比べて終盤の盛り上がりは微妙。アクション重視の方には物足りないかもしれない。

主要メンバー以外のゲストキャラと行動を共にし、事件を解決していくという珍しいスタイル。怜子さんがコナンに心を許していく過程も描写されている。他の作品にはない良さだろう。

人の4人を殺し、堂本ホールを爆破した動機はある程度理解できる。 冒頭の鍵盤を悲しそうに眺めているシーンから推測するに、自分から大事な息子と音楽(ピアノ)を奪われ心底絶望していたのだろう。そのうちに息子への想い、音楽への想いが憎しみに生まれ変わり暴走してしまったのかな。

パイプオルガンの爆弾トリック(特定の鍵盤を弾くと爆発)は良い。爆弾トリックの時間稼ぎのために怜子さんがAmazing Graceを歌うわけだが、この歌声がまた素晴らしい。彼女の歌は、単に時間を稼ぐためだけではなく、犯人に語りかけているようにも思えた。残念ながら、決意の固い犯人には届かなかったが。ランネー・チャンと新一の過去回想の謎もこのシーンで綺麗に解明される。このシーンが1番の見所かもしれない。 灰原が元太のリコーダーで"SHOOT"の音階を表し、それにコナンが気付いて解決という『音』を使った展開も面白い。

絶対音感なのに音痴なのは矛盾している』とよく耳にするが、音感と発声は別物なので矛盾はしてない。電話のシーンは無理があったような気はするが。 帝丹小学校の合唱コンクール練習のシーンもほのぼのとしていて好き。怜子さんの指摘に対して歩美が言った『わざとじゃないもん!音痴なだけだもん』は名言。

ホールに侵入する際に探偵バッジを投げた理由(外音を聞く)、怜子さんがAmazing Graceを歌った理由(時間稼ぎ)など、細かい部分の説明が不足していたため、少々わかりにくいかもしれない。

爆弾を多用しているが、仕掛けている部分も静野監督作品のような無理矢理感がない。ランネー・チャンの新一依存症シーンもいやらしくなく爽やかにまとめられている。

スケールが小さく地味な作品だが、近年の作品と比べれば良作だ。

 

◆心に残る傑作◆

 

7位 時計じかけの摩天楼(第1作/1997)

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犯人によって仕掛けられた爆弾の捜索解除が物語の軸になっている。犯人が誰なのかを推理すると言うより、コナンと犯人の駆け引きを純粋に楽しむ映画。

『私は美しくなければ建築とは認めません』、『今の若い建築家の多くは美意識が欠けています。もっと自分の作品に責任を持たなければいけないのです!』、『私の最大にして最低の作品だ!君たちに私の美学は分かるまい』、『工藤に会ったらこう言っておけ。"お前のために3分間作ってやった。じっくり味わえ"ってな!』、『建築に愛など必要ない。人生にもな!』など数々の名言を残したカリスマ建築家が犯人。 建築・土木設計だけではなく、爆弾設計まで精通している爆弾業界の名誉教授。

シンメトリー(左右対称)じゃないから爆破するという意味不明な理由で大勢のモブたちを危険に晒すという、初代犯人の名に相応しい自分勝手さを披露するが、不安なのか爆弾の設計図を持ち歩いたり、証拠の隠し場所を口滑らしたり、表情に出てしまっていたりとチャーミングな一面も魅せてくれる。

終盤にある爆弾解除のシーンはハラハラドキドキ。赤いコードを切らなかった理由が一言で綺麗にまとまっている。お笑い担当の白鳥警部&目暮警部&おっちゃんのコントも必見。

 

6位 世紀末の魔術師(第3作/1999)

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キッドがロマノフ王朝の遺産『インペリアル・イースター・エッグ』を狙う話。

大阪→豪華客船→横須賀の城と舞台が変わっていく。 実際のロマノフ王朝の歴史物語を軸にしつつ、キッド、スコーピオンの正体、コナンの正体バレを上手く絡めてストーリーが構成されているおり、序盤〜終盤まで無駄な部分がほとんどない密度の濃い作品になっている。

スコーピオンを特定する伏線がほとんどないので、推理というよりはストーリーを楽しむ作品かもしれない。 被害者が殺される前の、容疑者たちの悪人面演出が面白い。『2億円をかき集めるのがやっとだよ』とさらっと自慢するスネ夫風の映像作家や『欲望むき出し』の得体の知れないブローカーなど、容疑者一人一人に魅力があった。

相手の右目を正確に撃ち抜く素晴らしい技術を持っているスコーピオンだが、犯行動機がまぁ酷い。被害者全てを『見たなぁ、生かしちゃおけねぇ』的なノリで殺害したり、『先祖のことを悪く言われムシャクシャしたから』的な動機で、おっちゃんを撃ち殺そうとするなど、インターポール指名手配犯の名に恥じない身勝手な行動を連発している。右目を執拗に狙う犯行から、先祖に対する誇りは伝わった。

エッグの謎が解けるシーン、燃え上がる炎の中、コナンとスコーピオンが対峙するシーン、コナンの正体がバレそうになるシーンなど見所たっぷりで何度見ても飽きない。 キッド作品の中ではダントツトップ。

ギャグ担当だった頃の白鳥警部のいやらしい目つきが拝める数少ない作品でもある。

 

5位 迷宮の十字路(第7作/2003)

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舞台は大阪・京都。

次&和葉が主役の映画にコナンがゲストで出演した感じ。全体的に派手さはないが、情緒溢れる描写、手鞠歌などで見事に京都の落ち着いた雰囲気を作っている平次&和葉の恋模様を絡めたミステリーは秀逸でラストのオチもいやらしくなく綺麗にまとまっている。平次&和葉だけではなく、新一&ランネー・チャンの見せ場もしっかりと作り込むところはさすが。

丁寧でわかりやすい伏線をうまく散りばめられており、終盤に進むにつれて、一つ一つ繋がり盛り上がっていく構成は見ていてスッキリする。事件自体は薄っぺらいのだが、それを補うほど犯人に魅力がある。玉龍寺の前で仁王立ちしている犯人の迫力はドラクエのラスボス並。温厚そうなおっさんが『お前誰だよ』状態になって、意味不明な動機を熱弁したり、爆弾や拳銃などは一切使わずに、義経流の剣術で犯行を重ねていく姿勢(弓矢も使用したが)は嫌いじゃない。義経になりたかったのも何と無く伝わってきた。平次とのチャンバラ対決も熱い。 弓矢が階段状に刺さるなどご都合主義な部分も多々あるが、今と比べれば可愛いものである。 

派手なアクションがなくても、映画の雰囲気一つで良いものができることを示した貴重な作品である。

 

4位 14番目の標的(第2作/1998) 

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トランプの数字になぞらえて、おっちゃんの関係者が次々と襲われていく斬新なサスペンスに仕上がっている作品。

おっちゃんが刑事を辞めたエピソードや妃英理との別居の真相など原作では見れない過去エピソードなども物語が進むにつれて明らかになる。わかりやすい伏線が散りばめられているので、推理的にはそんなに難しくない。

この映画の良さと言えば魅力的な犯人。その強烈な声優の演技に誰もが驚かされたことだろう。犯行動機自体は自分勝手極まりないのだが、あそこまで狂気な感じで言い放たれると謎の説得力が出てくる。『そんなことだと!?貴様らにあの時の私の気持ちは分かるまい!私が天職として目指したソムリエの品格!名誉!プライド!!その全てをあの男は汚い足で踏み躙ったんだ!』、『他の連中は死のうが生きようがどうでもよかった』、『ダメだ!奴を殺して俺も死ぬ、この女も道連れだ!ヒャッハッハッハ』など数々の名言を残した。味覚障害でもソムリエを続けられる才能があるのにもったいない。

ジワっと笑えてくるシーンも多い。例えば、おっちゃんが十和子さんを見張っているときに『行くって…朝メシっすか?』とボケたりするシーンや終盤の犯人とのやりとりの中の、白鳥『ランさんをはなせぇー↑ はなさないとうつぞぉ〜↑』→目暮『白鳥君よせ…ふぉうぉぉぉぉぉぉ』と謎のコントを始め緊迫した雰囲気を和やかにするシーンなど、違う意味でも見所満載の作品である。

 

◆心に残る名作◆

 

3位 イカー街の亡霊(第6作/2002)

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19世紀末ロンドンに歴史の光と闇として存在した、『シャーロック・ホームズ』と『ジャック・ザ・リッパー』をテーマにした物語。良い意味でコナンらしくない、異質な雰囲気が漂っている作品。

『悪い慣習ね、政治家の息子は政治家に。大企業の息子は社長に。あんな子たちが将来を背負っていくと思うと先が思いやられるわ』や『現代日本の政治家、医者、警察などの権力者は腐っている。そういう大人たちを見て育った2世、3世も腐っているのだから、日本を良い国にするためにはそういう繋がりをリセットする必要がある』など、日本の世襲制に対して痛烈に批判した言葉が印象深い

そんな2世3世のクソガキ達がゲームを通して、親の力を頼りにせず、自分の力で成長していく姿に心を動かされる。

滝沢『人に感謝されるのって初めてだな』江守『良いものだね』

このワンシーンに全てが集約されている。

10歳という若さの子供を社畜として働かせ自殺に追い込んだ、ブラック企業の社長トマス・シンドラーの秘密も見所の一つだ。

蘭が自ら飛び降りるシーン、コナンが諦めるシーンなど、少々違和感の残るシーンもあるが、近年の映画と比べるとそれはまだ許容範囲内。 ロンドンの情景がしっかりと作り込まれていることも、この作品の価値を上げている要因の一つだろう。

 

2位 天国へのカウントダウン(第5作/2001)

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黒の組織初登場&灰原メインの作品。

ストーリー構成、演出などどれを取っても質が良い。少年探偵団が程よく活躍しているのも良い点。 この時の黒の組織は、大勢の警察の前でマシンガンをぶっ放す様な無能集団ではなかったので、コナンの『迷宮入りになるだろーな』という言葉も頷ける。

『業火の向日葵』の犯人の様な小物だと、憎っくきビルの爆破を真っ先に考えそうだが、超大物犯人の考えることは違う。ビル爆破ではなく、ビル建設関係者を堅実に殺害していく謎の男気を魅せたのだ。 全身全霊で自分の富士山画を墨で真っ二つにするシーン、犯人の過去回想を見せられると、『14番目の標的』の犯人と同様、自分勝手極まりない犯行動機でも納得してしまう。ビル脱出後、警察に連行される時に見せた表情がなんとも言えなかった。 ビル爆破もこの犯人が行なったと勘違いしている方が多いが、黒の組織が行なったことなので、この犯人は一切関係ない。

黒の組織が絡んだ映画の中ではダントツトップの面白さ。

 

1位 瞳の中の暗殺者(第4作/2000)

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ランネー・チャンの目の前で知人が撃たれ、そのショックで記憶喪失になった上に、犯人にまで命を狙われるという気の抜けないシリアスな展開で視聴者を惹きつける。

『どの様にして、ランネー・チャンの記憶が戻るのか』、『犯人は誰なのか』、『警察上層部が関係しているのか』など見所満載の作品になっている。

トロピカルランドでの新一&ランネー・チャン一過去回想と終盤の噴水、第1被害者の残したダイイングメッセージとおっちゃんのジェットコースターに乗った後の反応、何気ないやりとりの中で電話を取るシーンと犯人は左利きという情報など、これらの要素が綺麗に繋がって物語が終了する。これがこの作品の魅力だ。

もう一つの魅力は、誰だかわからなくなるほど変貌するタイプの犯人。自分が犯した過去の罪を隠せるなら、他がどうなっても構わないというストーカーカス野郎だが、何故か憎めない。『今から戦場に行く気か』とツッコミたくなる服装や、やたらと発砲するのにカスリもしない拳銃の腕が前作のスコーピオンと対称的で面白い。

ストーリー構成、演出どれを取っても歴代ナンバーワンの名作。

新旧白鳥警部の声優が揃って出演した作品でもある。

 

◆番外編(映画主題歌TOP5)◆

①Time after time~花舞う街で~/倉木麻衣/迷宮の十字路

②夏を待つセイル(帆)のように/ZARD/水平線上の陰謀

③七つの海を渡る風のように/愛内里菜&三枝夕夏/紺碧の棺

④あなたがいるから/小松未歩/瞳の中の暗殺者

⑤Everlasting/B'z/ベイカー街の亡霊

 

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以上、懐古厨おじさんの独断と偏見で決めたコナン映画ランキングでした!

色々と厳しいことを書きましたが、コナンの映画はどの作品も大好きです。

キチガイ犯人ランキングの記事も書いたので、興味のある方は是非読んでみてください!

では、また。

 

【更新情報】

2018/10/7

から紅の恋歌追加!

2019/3/24

ゼロの執行人追加!

2021/5/30

 紺青の拳追加!

 

劇場版名探偵コナンキチガイ犯人ランキング↓

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